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生活保護法

生活保護法    

■総則
■保護の原則
■保護の種類及び範囲
■保護の機関及び実施
■保護の方法
■保護施設
■医療機関、介護機関及び助産機関
■被保護者の権利及び義務
■不服申立て
■費用
■雑則(省略)
□附則(省略)





■第一章 総則

(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等) 
第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。 

(最低生活)
第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。  

(保護の補足性)
第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

2.民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

3.前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

(この法律の解釈及び運用)
第五条 前四条に規定するところは、この法律の基本原理であつて、この法律の解釈及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。

(用語の定義)
第六条 この法律において「被保護者」とは、現に保護を受けている者をいう。

2.この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。

3.この法律において「保護金品」とは、保護として給与し、又は貸与される金銭及び物品をいう。

4.この法律において「金銭給付」とは、金銭の給与又は貸与によつて、保護を行うことをいう。

5.この法律において「現物給付」とは、物品の給与又は貸与、医療の給付、役務の提供その他金銭給付以外の方法で保護を行うことをいう。


■第二章 保護の原則

(申請保護の原則)
第七条 保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。

(基準及び程度の原則)
第八条 保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。

2.前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。

(必要即応の原則)
第九条 保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。

(世帯単位の原則)
第十条 保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる.。



■第三章 保護の種類及び範囲

(種類)
第十一条 保護の種類は、次のとおりとする。

 一 生活扶助
 二 教育扶助
 三 住宅扶助
 四 医療扶助
 五 介護扶助
 六 出産扶助
 七 生業扶助
 八 葬祭扶助

2.前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。 

(生活扶助)
第十二条 生活扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。 

 一 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの
 二 移送

(教育扶助)
第十三条 教育扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 一 義務教育に伴つて必要な教科書その他の学用品
 二 義務教育に伴つて必要な通学用品
 三 学校給食その他義務教育に伴つて必要なもの

 (住宅扶助)
第十四条 住宅扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 一 住居
 二 補修その他住宅の維持のために必要なもの

 (医療扶助)
第十五条 医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 一 診察
 二 薬剤又は治療材料
 三 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
 四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
 五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
 六 移送

 (介護扶助)
第十五条の二 介護扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要介護者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第三項に規定する要介護者をいう。第三項において同じ。)及び要支援者(同条第四項に規定する要支援者をいう。第三項において同じ。)に対して、次に掲げる事項の範囲内において行われる。

 一 居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る。)
 二 福祉用具
 三 住宅改修
 四 施設介護
 五 移送

2.前項第一号に規定する居宅介護とは、介護保険法第七条第六項に規定する訪問介護、同条第七項に規定する訪問入浴介護、同条第八項に規定する訪問看護、同条第九項に規定する訪問リハビリテーション、同条第十項に規定する居宅療養管理指導、同条第十一項に規定する通所介護、同条第十二項に規定する通所リハビリテーション、同条第十三項に規定する短期入所生活介護、同条第十四項に規定する短期入所療養介護、同条第十五項に規定する痴呆対応型共同生活介護、同条第十六項に規定する特定施設入所者生活介護及び同条第十七項に規定する福祉用具貸与並びにこれらに相当するサービスをいう。

3.第一項第一号に規定する居宅介護支援計画とは、居宅において生活を営む要介護者又は要支援者が居宅介護その他居宅において日常生活を営むために必要な保健医療サービス及び福祉サービス(以下この項において「居宅介護等」という。)の適切な利用等をすることができるようにするための当該要介護者又は要支援者が利用する居宅介護等の種類、内容等を定める計画をいう。

4.第一項第四号に規定する施設介護とは、介護保険法第七条第二十一項に規定する介護福祉施設サービス、同条第二十二項に規定する介護保健施設サービス及び同条第二十三項に規定する介護療養施設サービスをいう。(出産扶助)

第十六条 出産扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 一 分べんの介助
 二 分べん前及び分べん後の処置
 三 脱脂綿、ガーゼその他の衛生材料

(生業扶助)
第十七条 生業扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者又はそのおそれのある者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。但し、これによつて、その者の収入を増加させ、又はその自立を助長することのできる見込のある場合に限る。

 一 生業に必要な資金、器具又は資料
 二 生業に必要な技能の修得
 三 就労のために必要なもの

(葬祭扶助)
第十八条 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

 一 検案
 二 死体の運搬
 三 火葬又は埋葬
 四 納骨その他葬祭のために必要なもの

2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。

 一 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。

 二 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

■第四章 保護の機関及び実施

(実施機関)  
第十九条 都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。

 一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者

 二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの

2 居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。

3 第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託した場合又は第三十四条の二第二項の規定により被保護者に対する介護扶助(施設介護に限る。)を介護老人福祉施設(介護保険法第七条第二十一項に規定する介護老人福祉施設をいう。以下同じ。)に委託して行う場合においては、当該入所又は委託の継続中、その者に対して保護を行うべき者は、その者に係る入所又は委託前の居住地又は現在地によつて定めるものとする。

4 前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。

5 保護の実施機関は、保護の決定及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。

6 福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。

7 町村長は、保護の実施機関又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、左に掲げる事項を行うものとする。

 一 要保護者を発見し、又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。

 二 第二十四条第六項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取つた場合において、これを保護の実施機関に送付すること。

 三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。

 四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。

(職権の委任)
第二十条 都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。

(補助機関)
第二十一条 社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。

(民生委員の協力)
第二十二条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。

(事務監査)
第二十三条 厚生労働大臣は都道府県知事及び市町村長の行うこの法律の施行に関する事務について、都道府県知事は市町村長の行うこの法律の施行に関する事務について、その指定する官吏又は吏員に、その監査を行わせなければならない。

2.前項の規定により指定された官吏又は吏員は、都道府県知事又は市町村長に対し、必要と認める資料の提出若しくは説明を求め、又は必要と認める指示をすることができる。

3.第一項の規定により指定すべき官吏又は吏員の資格については、政令で定める。

(申請による保護の開始及び変更)
第二十四条 保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。

2.前項の書面には、決定の理由を附さなければならない。

3.第一項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。但し、扶養義務者の資産状況の調査に日時を要する等特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。この場合には、同項の書面にその理由を明示しなければならない。

4.保護の申請をしてから三十日以内に第一項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる。

5.前四項の規定は、第七条に規定する者から保護の変更の申請があつた場合に準用する。

6.保護の開始又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産状況その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。

(職権による保護の開始及び変更)
第二十五条 保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。

2.保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、すみやかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第二項の規定は、この場合に準用する。

3.町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第十九条第六項に規定する保護を行わなければならない。

 (保護の停止及び廃止)
第二十六条 保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、すみやかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。第二十八条第四項又は第六十二条第三項の規定により保護の停止又は廃止をするときも、同様とする。

(指導及び指示)
第二十七条 保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。

2.前項の指導又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。

3.第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。

 (相談及び助言)
第二十七条の二 保護の実施機関は、要保護者から求めがあつたときは、要保護者の自立を助長するために、要保護者からの相談に応じ、必要な助言をすることができる。

 (調査及び検診)  
第二十八条 保護の実施機関は、保護の決定又は実施のため必要があるときは、要保護者の資産状況、健康状態その他の事項を調査するために、要保護者について、当該吏員に、その居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。

2.前項の規定によつて立入調査を行う当該吏員は、厚生労働省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係人の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

3.第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

4.保護の実施機関は、要保護者が第一項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨の命令に従わないときは、保護の開始若しくは変更の申請を却下し、又は保護の変更、停止若しくは廃止をすることができる。 (調査の嘱託及び報告の請求)

第二十九条 保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定又は実施のために必要があるときは、要保護者又はその扶養義務者の資産及び収入の状況につき、官公署に調査を嘱託し、又は銀行、信託会社、要保護者若しくはその扶養義務者の雇主その他の関係人に、報告を求めることができる。

 (行政手続法の適用除外)  
第二十九条の二 この章の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。


■第五章 保護の方法

 (生活扶助の方法)
第三十条 生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによつては保護の目的を達しがたいとき、又は被保護者が希望したときは、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託して行うことができる。

2.前項ただし書の規定は、被保護者の意に反して、入所又は養護を強制することができるものと解釈してはならない。

3.保護の実施機関は、被保護者の親権者又は後見人がその権利を適切に行わない場合においては、その異議があつても、家庭裁判所の許可を得て、第一項但書の措置をとることができる。

4.前項の許可は、家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、同法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。三十一条 生活扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。 

5.生活扶助のための保護金品は、一月分以内を限度として前渡するものとする。但し、これによりがたいときは、一月分をこえて前渡することができる。

6.居宅において生活扶助を行う場合の保護金品は、世帯単位に計算し、世帯主又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。但し、これによりがたいときは、被保護者に対して個々に交付することができる。

7.介護老人福祉施設、介護老人保健施設(介護保険法第七条第二十二項に規定する介護老人保健施設をいう。以下同じ。)又は介護療養型医療施設(同条第二十三項に規定する介護療養型医療施設をいう。以下同じ。)であつて第五十四条の二第一項の規定により指定を受けたもの(同条第二項の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされた介護老人福祉施設を含む。)において施設介護を受ける被保護者に対して生活扶助を行う場合の保護金品を前項に規定する者に交付することが適当でないときその他保護の目的を達するために必要があるときは、同項の規定にかかわらず、当該介護老人福祉施設の長又は当該介護老人保健施設若しくは介護療養型医療施設の管理者に対して交付することができる。

8.前条第一項ただし書の規定により生活扶助を行う場合の保護金品は、被保護者又は施設の長若しくは養護の委託を受けた者に対して交付するものとする。 

(教育扶助の方法)
第三十二条 教育扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。

2.教育扶助のための保護金品は、被保護者、その親権者若しくは未成年後見人又は被保護者の通学する学校の長に対して交付するものとする。

(住宅扶助の方法)
第三十三条 住宅扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。

2 住宅扶助のうち、住居の現物給付は、宿所提供施設を利用させ、又は宿所提供施設にこれを委託して行うものとする。

3 第三十条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

4 住宅扶助のための保護金品は、世帯主又はこれに準ずる者に対して交付するものとする。

 (医療扶助の方法)  
第三十四条 医療扶助は、現物給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によつて行うことができる。

2.前項に規定する現物給付のうち、医療の給付は、医療保護施設を利用させ、又は医療保護施設若しくは第四十九条の規定により指定を受けた医療機関にこれを委託して行うものとする。

3.前項に規定する医療の給付のうち、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)又は柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の規定によりあん摩マツサージ指圧師又は柔道整復師(以下「施術者」という。)が行うことのできる範囲の施術については、第五十五条の規定により準用される第四十九条の規定により指定を受けた施術者に委託してその給付を行うことを妨げない。

4.急迫した事情がある場合においては、被保護者は、前二項の規定にかかわらず、指定を受けない医療機関について医療の給付を受け、又は指定を受けない施術者について施術の給付を受けることができる。

5.医療扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付するものとする。

 (介護扶助の方法)
第三十四条の二 介護扶助は、現物給付によつて行うものとする。ただし、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、金銭給付によつて行うことができる。

2 前項に規定する現物給付のうち、居宅介護及び施設介護は、介護機関(その事業として居宅介護を行う者及びその事業として居宅介護支援計画を作成する者並びに介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び介護療養型医療施設をいう。以下同じ。)であつて、第五十四条の二第一項の規定により指定を受けたもの(同条第二項の規定により同条第一項の指定を受けたものとみなされた介護老人福祉施設を含む。)にこれを委託して行うものとする。

3 前条第四項及び第五項の規定は、介護扶助について準用する。この場合において、同条第四項中「急迫した事情」とあるのは、「急迫した事情その他やむを得ない事情」と読み替えるものとする。

 (出産扶助の方法)
第三十五条 出産扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。

2 前項但書に規定する現物給付のうち、助産の給付は、第五十五条の規定により準用される第四十九条の規定により指定を受けた助産婦に委託して行うものとする。

3 第三十四条第四項及び第五項の規定は、出産扶助について準用する。

 (生業扶助の方法)
第三十六条 生業扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。

2 前項但書に規定する現物給付のうち、就労のために必要な施設の供用及び生業に必要な技能の授与は、授産施設若しくは訓練を目的とするその他の施設を利用させ、又はこれらの施設にこれを委託して行うものとする。

3 生業扶助のための保護金品は、被保護者に対して交付するものとする。但し、施設の供用又は技能の授与のために必要な金品は、授産施設の長に対して交付することができる。

 (葬祭扶助の方法)
第三十七条 葬祭扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。

2 葬祭扶助のための保護金品は、葬祭を行う者に対して交付するものとする。

■第六章 保護施設

 (種類)
第三十八条 保護施設の種類は、左の通りとする。
 一 救護施設
 二 更生施設
 三 医療保護施設
 四 授産施設
 五 宿所提供施設

2.救護施設は、身体上又は精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。

3.更生施設は、身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とする施設とする。

4.医療保護施設は、医療を必要とする要保護者に対して、医療の給付を行うことを目的とする施設とする。

5.授産施設は、身体上若しくは精神上の理由又は世帯の事情により就業能力の限られている要保護者に対して、就労又は技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設とする。

6.宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対して、住宅扶助を行うことを目的とする施設とする。

 (保護施設の基準)
第三十九条 保護施設は、その施設の設備及び運営並びにその施設における被保護者の数及びこれとその施設における利用者の総数との割合が厚生労働大臣の定める最低の基準以上のものでなければならない。

 (都道府県及び市町村の保護施設)
第四十条 都道府県は、保護施設を設置することができる。

2.市町村は、保護施設を設置しようとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

3.保護施設を設置した都道府県及び市町村は、現に入所中の被保護者の保護に支障のない限り、その保護施設を廃止し、又はその事業を縮少し、若しくは休止することができる。

4.都道府県及び市町村の行う保護施設の設置及び廃止は、条例で定めなければならない。

 (社会福祉法人及び日本赤十字社の保護施設の設置)
第四十一条 都道府県及び市町村の外、保護施設は、社会福祉法人及び日本赤十字社でなければ設置することができない。

2.社会福祉法人又は日本赤十字社は、保護施設を設置しようとするときは、あらかじめ、左に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出して、その認可を受けなければならない。

 一 保護施設の名称及び種類
 二 設置者たる法人の名称並びに代表者の氏名、住所及び資産状況
 三 寄附行為、定款その他の基本約款
 四 建物その他の設備の規模及び構造
 五 取扱定員
 六 事業開始の予定年月日
 七 経営の責任者及び保護の実務に当る幹部職員の氏名及び経歴
 八 経理の方針

3.都道府県知事は、前項の認可の申請があつた場合に、その施設が第三十九条に規定する基準の外、左の各号の基準に適合するものであるときは、これを認可しなければならない。

 一 設置しようとする者の経済的基礎が確実であること。
 二 その保護施設の主として利用される地域における要保護者の分布状況からみて、当該保護施設の設置が必要であること。
 三 保護の実務に当る幹部職員が厚生労働大臣の定める資格を有するものであること。

4.第一項の認可をするに当つて、都道府県知事は、その保護施設の存続期間を限り、又は保護の目的を達するために必要と認める条件を附することができる。

5.第二項の認可を受けた社会福祉法人又は日本赤十字社は、同項第一号又は第三号から第八号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の認可を受けなければならない。この認可の申請があつた場合には、第三項の規定を準用する。

第四十二条 社会福祉法人又は日本赤十字社は、保護施設を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その理由、現に入所中の被保護者に対する措置及び財産の処分方法を明らかにし、かつ、第七十条、第七十二条又は第七十四条の規定により交付を受けた交付金又は補助金に残余額があるときは、これを返還して、休止又は廃止の時期について都道府県知事の認可を受けなければならない。

 (指導)
第四十三条 都道府県知事は、保護施設の運営について、必要な指導をしなければならない。

2.社会福祉法人又は日本赤十字社の設置した保護施設に対する前項の指導については、市町村長が、これを補助するものとする。

 (報告の徴収及び立入検査)
第四十四条 都道府県知事は、保護施設の管理者に対して、その業務又は会計の状況その他必要と認める事項の報告を命じ、又は当該吏員に、その施設に立ち入り、その管理者からその設備及び会計書類、診療録その他の帳簿書類の閲覧及び説明を求めさせ、若しくはこれを検査させることができる。

2.第二十八条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

 (改善命令等)
第四十五条 厚生労働大臣は都道府県に対して、都道府県知事は市町村に対して、次に掲げる事由があるときは、その保護施設の設備若しくは運営の改善、その事業の停止又はその保護施設の廃止を命ずることができる。
 一 その保護施設が第三十九条に規定する基準に適合しなくなつたとき。
 二 その保護施設が存立の目的を失うに至つたとき。
 三 その保護施設がこの法律若しくはこれに基づく命令又はこれらに基づいてする処分に違反したとき。

2.都道府県知事は、社会福祉法人又は日本赤十字社に対して、左に掲げる事由があるときは、その保護施設の設備若しくは運営の改善若しくはその事業の停止を命じ、又は第四十一条第二項の認可を取り消すことができる。
 一 その保護施設が前項各号の一に該当するとき。
 二 その保護施設が第四十一条第三項各号に規定する基準に適合しなくなつたとき。
 三 その保護施設の経営につき営利を図る行為があつたとき。
 四 正当な理由がないのに、第四十一条第二項第六号の予定年月日(同条第五項の規定により変更の認可を受けたときは、その認可を受けた予定年月日)までに事業を開始しないとき。
 五 第四十一条第五項の規定に違反したとき。

3.前項の規定による処分に係る行政手続法第十五条第一項又は第三十条の通知は、聴聞の期日又は弁明を記載した書面の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)の十四日前までにしなければならない。

4.都道府県知事は、第二項の規定による認可の取消しに係る行政手続法第十五条第一項の通知をしたときは、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。

5.第二項の規定による認可の取消しに係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

 (管理規程)
第四十六条 保護施設の設置者は、その事業を開始する前に、左に掲げる事項を明示した管理規程を定めなければならない。
 一 事業の目的及び方針
 二 職員の定数、区分及び職務内容
 三 その施設を利用する者に対する処遇方法
 四 その施設を利用する者が守るべき規律
 五 入所者に作業を課する場合には、その作業の種類、方法、時間及び収益の処分方法
 六 その他施設の管理についての重要事項

2.都道府県以外の者は、前項の管理規程を定めたときは、すみやかに、これを都道府県知事に届け出なければならない。届け出た管理規程を変更しようとするときも、同様とする。

3.都道府県知事は、前項の規定により届け出られた管理規程の内容が、その施設を利用する者に対する保護の目的を達するために適当でないと認めるときは、その管理規程の変更を命ずることができる。

 (保護施設の義務)
第四十七条 保護施設は、保護の実施機関から保護のための委託を受けたときは、正当の理由なくして、これを拒んではならない。

2.保護施設は、要保護者の入所又は処遇に当たり、人種、信条、社会的身分又は門地により、差別的又は優先的な取扱いをしてはならない。

3.保護施設は、これを利用する者に対して、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制してはならない。

4.保護施設は、当該吏員が第四十四条の規定によつて行う立入検査を拒んではならない。

 (保護施設の長)
第四十八条 保護施設の長は、常に、その施設を利用する者の生活の向上及び更生を図ることに努めなければならない。

2.保護施設の長は、その施設を利用する者に対して、管理規程に従つて必要な指導をすることができる。

3.都道府県知事は、必要と認めるときは、前項の指導を制限し、又は禁止することができる。

4.保護施設の長は、その施設を利用する被保護者について、保護の変更、停止又は廃止を必要とする事由が生じたと認めるときは、すみやかに、保護の実施機関に、これを届け出なければならない。


■第七章 医療機関、介護機関及び助産機関(平九法一二四・改称)

 (医療機関の指定)  
第四十九条 厚生労働大臣は、国の開設した病院若しくは診療所又は薬局についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院、診療所(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)若しくは薬局又は医師若しくは歯科医師について開設者又は本人の同意を得て、この法律による医療扶助のための医療を担当させる機関を指定する。

 (指定医療機関の義務)
第五十条 前条の規定により指定を受けた医療機関(以下「指定医療機関」という。)は、厚生労働大臣の定めるところにより、懇切丁寧に被保護者の医療を担当しなければならない。

2.指定医療機関は、被保護者の医療について、都道府県知事の行う指導に従わなければならない。

 (変更の届出等)
第五十条の二 指定医療機関は、当該指定医療機関の名称その他厚生労働省令で定める事項に変更があつたとき、又は当該指定医療機関の事業を廃止し、休止し、若しくは再開したときは、厚生労働省令で定めるところにより、十日以内に、その旨を第四十九条の指定をした厚生労働大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。

 (指定の辞退及び取消し)
第五十一条 指定医療機関は、三十日以上の予告期間を設けて、その指定を辞退することができる。

2.指定医療機関が、第五十条の規定に違反したときは、厚生労働大臣の指定した医療機関については厚生労働大臣が、都道府県知事の指定した医療機関については都道府県知事が、その指定を取り消すことができる。

 (診療方針及び診療報酬)
第五十二条 指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。

2.前項に規定する診療方針及び診療報酬によることのできないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生労働大臣の定めるところによる。

 (医療費の審査及び支払)
第五十三条 都道府県知事は、指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、且つ、指定医療機関が前条の規定によつて請求することのできる診療報酬の額を決定することができる。

2.指定医療機関は、都道府県知事の行う前項の決定に従わなければならない。

3.都道府県知事は、第一項の規定により指定医療機関の請求することのできる診療報酬の額を決定するに当つては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会又は医療に関する審査機関で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

4.都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、指定医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を、社会保険診療報酬支払基金又は厚生労働省令で定める者に委託することができる。

5.第一項の規定による診療報酬の額の決定については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

 (報告の徴収及び立入検査)
第五十四条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、診療内容及び診療報酬請求の適否を調査するため必要があるときは、指定医療機関の管理者に対して、必要と認める事項の報告を命じ、又は当該官吏若しくは当該吏員に、当該医療機関について実地に、その設備若しくは診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。

2.第二十八条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による検査について準用する。

 (介護機関の指定等)
第五十四条の二 厚生労働大臣は、国の開設した介護老人福祉施設、介護老人保健施設又は介護療養型医療施設についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の介護老人福祉施設、介護老人保健施設若しくは介護療養型医療施設又はその事業として居宅介護を行う者若しくはその事業として居宅介護支援計画を作成する者について開設者又は本人の同意を得て、この法律による介護扶助のための居宅介護若しくは居宅介護支援計画の作成又は施設介護を担当させる機関を指定する。

2.老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の五に規定する特別養護老人ホームについて介護保険法第四十八条第一項第一号の指定があつたときは、その介護老人福祉施設は、その指定の時に、前項の規定による指定を受けたものとみなす。

3.前項の規定により第一項の指定を受けたものとみなされた介護老人福祉施設に係る同項の指定は、当該介護老人福祉施設について、介護保険法第九十一条の規定による同法第四十八条第一項第一号の指定の辞退があつたとき、又は同法第九十二条第一項の規定による同法第四十八条第一項第一号の指定の取消しがあつたときは、その効力を失う。

4.第五十条から前条までの規定は、第一項の規定により指定を受けた介護機関(第二項の規定により第一項の指定を受けたものとみなされた介護老人福祉施設を含む。)について準用する。この場合において、第五十一条第一項中「指定医療機関」とあるのは「指定介護機関(介護老人福祉施設に係るものを除く。)」と、第五十三条第三項中「社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会又は医療に関する審査機関で政令で定めるもの」とあるのは「介護保険法に定める介護給付費審査委員会」と、同条第四項中「社会保険診療報酬支払基金又は厚生労働省令で定める者」とあるのは「国民健康保険団体連合会」と読み替えるほか、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

 (助産機関等への準用)
第五十五条 第四十九条から第五十一条までの規定は、この法律による出産扶助のための助産を担当する助産婦並びにこの法律による医療扶助のための施術を担当するあん摩マツサージ指圧師及び柔道整復師について、第五十二条及び第五十三条の規定は、医療保護施設について準用する。

 (告示)
第五十五条の二 厚生労働大臣又は都道府県知事は、次に掲げる場合には、その旨を告示しなければならない。

 一 第四十九条(前条において準用する場合を含む。以下本条において同じ。)及び第五十四条の二第一項の指定をしたとき。

 二 第五十条の二(第五十四条の二第四項及び前条において準用する場合を含む。)の規定による届出があつたとき。

 三 第五十一条第一項(第五十四条の二第四項及び前条において準用する場合を含む。)の規定による第四十九条の指定の辞退があつたとき。

 四 第五十一条第二項(第五十四条の二第四項及び前条において準用する場合を含む。)の規定により第四十九条の指定を取り消したとき。


■第八章 被保護者の権利及び義務

 (不利益変更の禁止)
第五十六条 被保護者は、正当な理由がなければ、既に決定された保護を、不利益に変更されることがない。

 (公課禁止)
第五十七条 被保護者は、保護金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。

 (差押禁止)
第五十八条 被保護者は、既に給与を受けた保護金品又はこれを受ける権利を差し押えられることがない。

 (譲渡禁止)
第五十九条 被保護者は、保護を受ける権利を譲り渡すことができない。

(生活上の義務)
第六十条 被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならない。

 (届出の義務)
第六十一条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

 (指示等に従う義務)
第六十二条 被保護者は、保護の実施機関が、第三十条第一項ただし書の規定により、被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託して保護を行うことを決定したとき、又は第二十七条の規定により、被保護者に対し、必要な指導又は指示をしたときは、これに従わなければならない。

2.保護施設を利用する被保護者は、第四十六条の規定により定められたその保護施設の管理規程に従わなければならない。

3.保護の実施機関は、被保護者が前二項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる。

4.保護の実施機関は、前項の規定により保護の変更、停止又は廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならない。この場合においては、あらかじめ、当該処分をしようとする理由、弁明をすべき日時及び場所を通知しなければならない。

5.第三項の規定による処分については、行政手続法第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

 (費用返還義務)
第六十三条 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。

■第九章 不服申立て (昭三七法一六一・改称)
 
 (審査庁)
第六十四条 第十九条第四項の規定により市町村長が保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。

 (裁決をすべき期間)
第六十五条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、保護の決定及び実施に関する処分についての審査請求があつたときは、五十日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

2.審査請求人は、前項の期間内に裁決がないときは、厚生労働大臣又は都道府県知事が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

 (再審査請求)
第六十六条 市町村長がした保護の決定及び実施に関する処分又は市町村長の管理に属する行政庁が第十九条第四項の規定による委任に基づいてした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。

2.前条第一項の規定は、再審査請求の裁決について準用する。この場合において、同項中「五十日」とあるのは、「七十日」と読み替えるものとする。

第六十七条及び第六十八条 削除

 (審査請求と訴訟との関係)
第六十九条 この法律の規定に基づき保護の実施機関がした処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。


■第十章 費用

 (市町村の支弁)
第七十条 市町村は、次に掲げる費用を支弁しなければならない。

 一 その長が第十九条第一項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する次に掲げる費用

  イ 保護の実施に要する費用(以下「保護費」という。) 

  ロ 第三十条第一項ただし書、第三十三条第二項又は第三十六条第二項の規定により被保護者を保護施設に入所させ、若しくは入所を委託し、又は保護施設を利用させ、若しくは保護施設にこれを委託する場合に、これに伴い必要な保護施設の事務費(以下「保護施設事務費」という。) 

  ハ 第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を適当な施設に入所させ、若しくはその入所を適当な施設に委託し、又は私人の家庭に養護を委託する場合に、これに伴い必要な事務費(以下「委託事務費」という。) 

  二 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、都道府県知事又は他の市町村長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費

 三 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の町村長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費

 四 その設置する保護施設の設備に要する費用(以下「設備費」という。)

 五 この法律の施行に伴い必要なその人件費

 六 この法律の施行に伴い必要なその事務費(以下「行政事務費」という。)

 (都道府県の支弁)
第七十一条 都道府県は、左に掲げる費用を支弁しなければならない
B
 一 その長が第十九条第一項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費

 二 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する者に対して、他の都道府県知事又は市町村長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費

 三 その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有する者(その所管区域外に居住地を有する者を除く。)に対して、町村長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費

 四 その設置する保護施設の設備

 五 この法律の施行に伴い必要なその人件費

 六 この法律の施行に伴い必要なその行政事務

 (繰替支弁)
第七十二条 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、政令の定めるところにより、その長の管理に属する福祉事務所の所管区域内の保護施設、指定医療機関その他これらに準ずる施設で厚生労働大臣の指定するものにある被保護者につき他の都道府県又は市町村が支弁すべき保護費及び保護施設事務費を一時繰替支弁しなければならない。

2.都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、その長が第十九条第二項の規定により行う保護(同条第五項の規定により委託を受けて行う保護を含む。)に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。

3.町村は、その長が第十九条第六項の規定により行う保護に関する保護費、保護施設事務費及び委託事務費を一時繰替支弁しなければならない。

 (都道府県の負担)
第七十三条 都道府県は、政令の定めるところにより、次に掲げる費用を負担しなければならない。

 一 居住地がないか、又は明らかでない被保護者につき市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の四分の一

 二 宿所提供施設又は児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十八条に規定する母子生活支援施設にある被保護者(これらの施設を利用するに至る前からその施設の所在する市町村の区域内に居住地を有していた被保護者を除く。)につきこれらの施設の所在する市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の四分の一

 三 市町村が支弁した保護施設の設備費の四分の一

 (都道府県の補助)
第七十四条 都道府県は、左に掲げる場合においては、第四十一条の規定により設置した保護施設の修理、改造、拡張又は整備に要する費用の四分の三以内を補助することができる。

 一 その保護施設を利用することがその地域における被保護者の保護のため極めて効果的であるとき。

 二 その地域に都道府県又は市町村の設置する同種の保護施設がないか、又はあつてもこれに収容若しくは供用の余力がないとき。

2.第四十三条から第四十五条までに規定するものの外、前項の規定により補助を受けた保護施設に対する監督については、左の各号による。

 一 厚生労働大臣は、その保護施設に対して、その業務又は会計の状況について必要と認める事項の報告を命ずることができる。

 二 厚生労働大臣及び都道府県知事は、その保護施設の予算が、補助の効果を上げるために不適当と認めるときは、その予算について、必要な変更をすべき旨を指示することができる。

 三 厚生労働大臣及び都道府県知事は、その保護施設の職員が、この法律若しくはこれに基く命令又はこれらに基いてする処分に違反したときは、当該職員を解職すべき旨を指示することができる。

 (準用規定)
第七十四条の二 社会福祉法第五十八条第二項から第四項までの規定は、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第一号の規定又は同法第三条第一項第四号及び同条第二項の規定により普通財産の譲渡又は貸付を受けた保護施設に準用する。

 (国の負担及び補助)
第七十五条 国は、政令の定めるところにより、次に掲げる費用を負担しなければならない。

 一 市町村及び都道府県が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費の四分の三

 二 市町村及び都道府県が支弁した保護施設の設備費の二分の

2.国は、政令の定めるところにより、都道府県が第七十四条第一項の規定により保護施設の設置者に対して補助した金額の三分の二以内を補助することができる。

 (遺留金品の処分)
第七十六条 第十八条第二項の規定により葬祭扶助を行う場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。

2.都道府県又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。

 (費用の徴収)
j 第七十七条 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

2.前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。

3.前項の処分は、家事審判法の適用については、同法第九条第一項乙類に掲げる事項とみなす。

第七十八条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

 (返還命令)
第七十九条 国又は都道府県は、左に掲げる場合においては、補助金又は負担金の交付を受けた保護施設の設置者に対して、既に交付した補助金又は負担金の全部又は一部の返還を命ずることができる。

 一 補助金又は負担金の交付条件に違反したとき

 二 詐偽その他不正な手段をもつて、補助金又は負担金の交付を受けたとき。

 三 保護施設の経営について、営利を図る行為があつたとき

 四 保護施設が、この法律若しくはこれに基く命令又はこれらに基いてする処分に違反したとき。

 (返還の免除)
第八十条 保護の実施機関は、保護の変更、廃止又は停止に伴い、前渡した保護金品の全部又は一部を返還させるべき場合において、これを消費し、又は喪失した被保護者に、やむを得ない事由があると認めるときは、これを返還させないことができる。



■第十一章 雑則

(後見人選任の請求)
第八十一条 被保護者が未成年者又は成年被後見人である場合において、親権者及び後見人の職務を行う者がないときは、保護の実施機関は、すみやかに、後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。

(町村の一部事務組合等)
第八十二条 町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなし、その一部事務組合の管理者又は広域連合の長を福祉事務所を管理する町村長とみなす。

(保護の実施機関が変更した場合の経過規定)
第八十三条 町村の福祉事務所の設置又は廃止により保護の実施機関に変更があった場合においては、変更前の保護の実施機関がした保護の開始又は変更の申請の受理及び保護に関する決定は、変更後の保護の実施機関がした申請の受理又は決定とみなす。但し、変更前に行われ、又は行われるべきであつた保護に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。

(実施命令)
第八十四条 この法律で政令に委任するものを除く外、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

(大都市等の特例)
第八十四条の二 この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下本条中「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下本条中「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市又は中核市(以下本条中「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。

二. 第六十六条第一項の規定は、前項の規定により指定都市等の長がした処分に係る不服申立てについて準用する。

(保護の実施機関についての特例)
第八十四条の三 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十七条の十第一項の規定により施設訓練等支援費の支給を受けて若しくは同法第十八条の規定により入所措置がとられて身体障害者療護施設に入所している者又は老人福祉法第十一条の規定により養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームに入所している者に対する保護については、その者がこれらの施設に引き続き入所している間、その者は、第三十条第一項ただし書の規定により入所しているものとみなして、第十九条第三項の規定を適用する。

(事務の区分)
第八十四条の四 別表の上欄に掲げる地方公共団体がそれぞれ同表の下欄に掲げる規定により処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(権限の委任)
第八十四条の五 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

二. 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

(罰則)
第八十五条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。

第八十六条 第四十四条第一項、第五十四条第一項(第五十四条の二第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)若しくは第七十四条第二項第一号の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は第二十八条第一項(要保護者が違反した場合を除く。)、第四十四条第一項若しくは第五十四条第一項の規定による当該官吏若しくは当該吏員の調査若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。

二. 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても前項の刑を科する。


■第十二章 附則

省略

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